- 行動は「計画」に沿って行われ、成果も「計画」によって決まります。
- 理想と現実の差異を埋めるための工程表=計画です。計画は、目標、達成手順、実施内容、達成基準が明確になっている必要があります。
すべての行動は「計画」が起点になる
PDCAサイクルが「P」、すなわち「計画」から始まるのは、 すべての行動は計画に基づいて実践されるからです。もちろん、計画とは名ばかりで、 単なる思いつきにすぎないこともあります。 また目標は明確なのに、精神論・根性論ばかりが先行し、具体的に何をするのかが曖昧な計画も少なくありません。 しか し、「○○をしよう」という意思や計画によって行動が誘引されることは事実で あり、計画の善しあしは、 成果の違いになって現れます。
「計画」とは理想と現実の差を埋めるもの
ビジネスは常に結果が求められます。 思いつきで行動しても成功する確率は極めて低いといえますし、低すぎたり高すぎたりする目標をもとに計画を立てても、成果にはつながりません。
できるビジネスパーソンになるためには、計画とは何なのか、きちんとした 計画を立案するためには何が必要なのかを理解する必要があります。
「計画」とは、理想と現実の差を埋めるためのものです。ビジネスを進める際には、さまざまな目的やあるべき姿が提示されますが、そうした目的や基準を 満たすための工程表こそが計画であり、できるビジネスパーソンは、適切にあるべき姿と現実のギャップを見極め、それを埋めるための行動計画を立案しています。
「計画」 を適切に立案するためには
世の中には「計画もどき」の計画が数多く存在します。 事業環境が変化して いるにもかかわらず、前年どおりの数値目標を掲げて計画したり、働くメンバーの役割の違いや能力差を無視して目標数値を均等割りするような計画が、後を絶ちません。
所期の成果をあげるためには、適切に計画を立案することが重要であり、つ ぎの5つの要件を満たすことが求められます。
分析 あるべき姿と現状の差異が適切に分析されていること
解決策 問題点を課題として認識し、課題解決のための具体策を講じること
道筋 課題を解決するための道筋を5W3H(いつ・どこで・だれが何をなぜ・どのように・いくらでどれくらいやるのか)で明 確にすること
達成基準 実行プロセスごとに達成基準 (指標) を設けること
リスク対策 あらかじめリスク対策を盛り込み、計画の修正を想定しておくこと
これらの要件を踏まえながら、つぎの5つのステップで計画立案をしていきます。 各ステップの内容については、次節から詳しく見ていきます。
適切な計画が立案されたにもかかわらず、計画どおりに物事が進まないことがあります。 その原因はさまざまですが、ビジネスの現場で多く見られるのが、計画を実行する人たちの納得度の差です。 同じ職場、同じチームに所属しているにもかかわらず、目標に対する共通理解もなく、課題解決のための取り組みについての必要性を感じていなければ、やらされ感が強くなり、 どんなに適切な計画を立案しても、計画倒れに終わってしまうでしょう。
計画を実行するのは「人間」です。 真に適切な計画とは、チームを構成するメンバーの納得度が高い計画のことをさし、計画を実行する一人ひとりが主体的に実践しようとするものでなければなりません。具体的には、つぎのようなことに留意しましょう。
- 誰もが納得できるゴールを設定すること(=納得感を醸成する)
- 達成までのストーリーが見えること(=納得感を行動に置き換える)
- 一人ひとりの業務に置き換えること(=「自分ごと」だと認識させる)
- 計画立案のプロセスに参画させること(=「当事者意識」を向上させる)